腎臓と甲状腺のコントロールに加え、先月からは食欲不振。
対応に右往左往のひと月でした。
食べない原因がわからず、薬もめまぐるしくかわります。
自分でもだんだん混乱してきたので、またこのへんでいったん流れをまとめたいと思います。
(現在はクロの食欲も戻りつつあり小康状態です。)
これまでの状況
絶叫騒動の原因を探ろうと血液検査をしたら甲状腺があがっていました。
しばらくお薬(メルカゾール)を朝晩1/4錠ずつにふやして様子見です。
体調記録をみると、ちょうどそのころから食欲が低下しています。
二週間後に甲状腺の再検査すると、今度はさがりすぎが判明しました。
食欲低下も薬の影響かと思い、メルカゾールの量をちょっぴりへらします。
(朝1/4錠+夜1/5錠相当)
6/27(日):電話で相談(強制給餌の開始)
薬をへらしても食欲はおちていき、体重も4kgを切ってしまいました。
食欲増進剤のペリアクチンをふやしても、残っていたレメロンにきりかえてみても、食欲はまったく変化なし。
不安になって病院へ電話し、先生に相談しました。
とりあえず、甲状腺のお薬は調整前の量(1回1/5錠相当)にいったんもどしましょう
それでも食べないときはどうしたらいいでしょうか?
食べないのは腎臓にもよくないですからね。
強制給餌をすると食欲がもどることもあるのですが、できますか?
はい、できます!
しばらくやってみます
ここからウェットを1日4回の強制給餌生活がスタートしました。
6/30(水):病院で相談(ガバペン開始)
結局、強制給餌を続けてみても食欲はもどらず。
ちょうどもろもろのお薬も切れるころだったので、直接病院へいって先生とまた薬の相談をしました。
強制給餌を続けたら体重が戻ってきましたが、食欲は戻らないようです
そうですか。
ほかに食欲増進剤として使えるものでは、ガバペン(てんかんの薬)とグレリン(犬用の食欲ホルモン)があります。
まずガバペンを使ってみて、それがだめならグレリン。
それもだめならステロイドを試してみましょう
わかりました
まずはガバペンを1週間飲ませることになりました。
7/6(火):血液検査(グレリン開始)
甲状腺の薬の量をもとにもどしてしまったため、数値の変化が気になります。
いったん調べてもらおうと検査予約を入れたのですが、連れていく前にクロが薬を吐いてしまい、この日の甲状腺検査は延期になりました…
せっかくクロを連れていったので、このときは腎臓関係だけ調べてもらってます。
2021年7月6日(火) (慢性腎不全の診断から6年と11ヶ月目)
総タンパク(TP) -(基準値:5.7~7.8)
アルブミン(ALB)-(基準値:2.3~3.5)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/Mt内 肝酵素(AST [GOT])-(基準値:18~51)
アラニンアミノトランスフェラーゼ/細胞質内肝酵素(ALT [GPT])51(基準値:22~84)
*アルカリフォスファターゼ/胆嚢、肝機能(ALP)72(基準値:1~58)
胆嚢、肝機能(GGT)-(基準値:1~10)
総コレステロール(TCho) -(基準値:89~176)
トリグリセライド〔中性脂肪〕(TG)-(基準値:17~104)
尿素窒素(BUN) 40.3(基準値:17.6~32.8)
クレアチニン(Cre) 1.95(基準値:0.8~1.8)
ナトリウム(Na)157(基準値:147~156)
クロール(Cl) 120(基準値:107~120)
カリウム(K) 4.2(基準値:3.4~4.6)
カルシウム(Ca) 11.6(基準値:8.8~11.9)
リン(Pi/IP)5.4(基準値:2.6~6.0)
グルコース〔血糖値〕(GLU〔BG〕) -(基準値:71~148)
白血球(WBC) 50(基準値:55~195)
赤血球(RBC) 730(基準値:500~1000)
ヘモグロビン (Hb) 10.9(基準値:8.0~15.0)
血球容積/血液濃度(HCT)33.7(基準値:33~45)
平均赤血球容積(MCV)46.2(基準値:39~55)
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)14.9(基準値:13~17)
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)32.3(基準値:30~36)
血小板(Plt)19.9(基準値:30~800)※猫は一桁でなければOK
ヘマトクリット値 (Ht〔PCV〕) -(基準値:26~46)
———
※T4(甲状腺)-(基準値:0.90~3.70)
*ALPなどの基準値範囲が変更されました。
参考 ALPの基準値範囲変更(桟橋動物病院)
腎不全発覚からのおもな数値の推移
*基準値範囲変更
2021 | 7/6 | 6/22 | 6/8 | 4/13 | 2/16 | 2/2 | 1/26 |
体重 | 3.96 | 4.10 | 4.24 | 4.28 | 4.10 | 4.00 | 4.00 |
AST | – | – | – | 49 | – | – | 53 |
ALT | 51 | 75 | – | 89 | – | 94 | 102 |
ALP | 72 | 65* | – | 208 | – | 183 | 195 |
BUN | 40.3 | 38.7 | 49.6 | 51.9 | 52.4 | 46.5 | 43.3 |
Cre | 1.95 | 2.11 | 2.66 | 2.71 | 2.54 | 2.53 | 2.46 |
Ca | 11.6 | 10.9 | 11.6 | 11.4 | 11.1 | – | 11.8 |
Pi (IP) | 5.4 | 2.7 | 3.5 | 4.6 | 3.1 | – | 3.8 |
NH3 | – | – | 39 | – | – | – | – |
T4 | – | 0.59 | 4.72 | – | – | 2.38 | 4.52 |
2020 | 10/27 | 9/29 | 9/15 | 9/1 | 8/18 | 8/11 | 7/26 | 6/28 | 5/24 | 3/22 | 1/19 |
体重 | 4.11 | 4.20 | 4.14 | 4.24 | 4.25 | 4.17 | 4.13 | 4.20 | 4.05 | 4.20 | 3.85 |
AST | 48 | – | 47 | – | – | – | 49 | 48 | 51 | 64 | 32 |
ALT | 81 | – | 81 | 67 | – | – | 83 | 62 | 87 | 109 | 63 |
ALP | 225 | – | 194 | 213 | – | – | 215 | 136 | 223 | 230 | 227 |
BUN | 37.7 | 41.0 | 41.5 | 46.3 | 51.6 | 53.7 | 45.8 | 39.2 | 46.5 | 46.7 | 41.9 |
Cre | 2.31 | 2.73 | 2.96 | 2.81 | 2.60 | 2.37 | 2.27 | 2.87 | 2.53 | 2.09 | 1.82 |
Ca | 11.3 | 11.6 | 11.7 | 11.1 | – | – | 10.5 | – | 10.9 | 11.7 | 10.5 |
Pi (IP) | 4.0 | 4.5 | 3.1 | 2.8 | – | – | 4.0 | 3.0 | 4.4 | 4.3 | 4.2 |
T4 | 3.55 | – | 2.64 | 1.45 | 1.33 | 4.61 | 5.78 | 0.30 | 5.58 | – | – |
2019 | 9/29 | 6/30 | 4/21 | 2/24 |
体重 | 4.10 | 4.02 | 4.10 | 4.10 |
AST | 50 | – | 44 | – |
ALT | 112 | – | 74 | – |
ALP | 238 | 184 | 136 | – |
BUN | 34.1 | 39.2 | 43.8 | 34.0 |
Cre | 1.96 | 2.08 | 2.01 | 2.2 |
Ca | 11.2 | 11.5 | 11.5 | 11.8 |
Pi (IP) | 3.9 | 4.4 | 4.8 | 5.5 |
2018 | 12/28 | 10/30 | 7/27 | 4/8 | 1/14 |
体重 | 4.15 | 4.40 | 4.20 | 4.42 | 4.45 |
AST | – | 37 | – | – | – |
ALT | – | 59 | – | – | – |
ALP | – | 169 | – | – | – |
BUN | 35.8 | 33.7 | 36.8 | 37.5 | 37.8 |
Cre | 2.3 | 2.8 | 2.5 | 2.7 | 2.7 |
Ca | 11.6 | 12.3 | 11.9 | 12.7 | 11.2 |
Pi (IP) | 4.5 | 3.6 | 3.2 | 4.2 | 4.0 |
2017 | 10/3 | 8/20 | 5/26 | 3/26 |
体重 | 4.35 | 4.4 | 4.4 | 4.4 |
AST | – | – | – | – |
ALT | – | – | – | – |
ALP | – | – | – | – |
BUN | 37.6 | 47.2 | 36.6 | 36.9 |
Cre | 2.9 | 2.7 | 2.8 | 2.2 |
Ca | 11.7 | 10.2 | 11.2 | 10.6 |
Pi (IP) | 4.5 | 3.6 | 3.8 | 3.5 |
2016 | 12/25 | 10/30 | 9/18 | 7/15 | 5/15 | 4/3 | 2/21 |
体重 | 4.5 | 4.5 | 4.4 | 4.4 | 4.1 | 4.2 | 4.4 |
AST | – | – | – | 46 | – | – | – |
ALT | – | – | – | 61 | – | – | – |
ALP | – | – | – | 106 | – | – | – |
BUN | 37.2 | 36.5 | 37.1 | 32.6 | 31.2 | 31.0 | 26.6 |
Cre | 2.7 | 2.6 | 3.1 | 2.0 | 2.6 | 2.8 | 2.6 |
Ca | – | – | – | 9.6 | – | – | – |
Pi (IP) | 3.5 | 4.5 | 3.9 | 2.4 | 4.4 | 4.3 | 3.4 |
2015 | 12/27 | 11/1 | 9/20 | 8/9 | 6/14 | 4/5 | 1/25 |
体重 | 4.7 | 4.6 | 4.6 | 4.6 | 4.3 | 4.4 | 4.6 |
AST | – | – | – | – | – | – | – |
ALT | – | – | – | – | – | – | – |
ALP | – | – | – | – | – | – | – |
BUN | 32.9 | 33.3 | 35.5 | 47.3 | 37.7 | 36.3 | 36.7 |
Cre | 2.7 | 2.7 | 2.9 | 2.9 | 2.9 | 2.4 | 2.2 |
Ca | 10.6 | – | – | – | – | – | – |
Pi (IP) | 3.2 | 3.8 | – | 2.9 | 3.1 | 4.5 | 4.6 |
2014 | 12/14 | 10/19 | 8/23 | 7/20 | 7/18 |
体重 | 4.5 | 4.1 | 4.1 | – | 4.0 |
AST | – | – | – | – | 38 |
ALT | – | – | – | – | 32 |
ALP | – | – | – | – | 100 |
BUN | 40.9 | 39.7 | 33.1 | 31.8 | 86.5 |
Cre | 2.7 | 3.1 | 2.9 | 3.3 | 6.6 |
Ca | 10.5 | – | – | – | 10.4 |
Pi (IP) | 3.7 | 4.1 | 3.3 | 4.9 | – |
これまでのベスト | これまでのワースト
検査結果を見て
腎臓はわりといいですよ
あ、本当ですね…
腎臓関係が問題ないということは…
今回の食欲不振と、腎機能低下からくる老廃物の影響とは無関係のようです。
食欲不振について
先生、ガバペン効きませんでした…
どちらかというとかえって元気がなくなったというか。
毛づくろいもしなくなってます
だめでしたか…残念ですね。
では1週間グレリンを使ってみましょうか
はい。
あの、しばらく間をあけたら、レメロンやペリアクチンはまた効くようになるんでしょうか?
効くかもしれないし、効かないかもしれません。
一度効かなくなった薬は、それ以降まったく効かなくなることも多いんですよ
それは耐性がつくというようなことでしょうか
うーん耐性というか…
薬のやり取りを何度も繰り返すうちに、受容体がこわれてしまうんですよね。
抗がん剤なんかがその顕著な例です
えええ………
けっこうショッキングな話を聞いてしまいました。
薬は時間をあければまた効くようになるとばかり思っていたので。
とにかくグレリンが効くことを祈りながらの1週間です。
7/12(月):病院で相談(ファモチジン+レメロン開始)
ガバペンが効かなかったので犬用のグレリンに変更。
食欲出てくれますように。どうも嫌いな味らしく、そのままでもフードに混ぜても激しく抵抗されました。
次回は、この液体を空カプセルで飲ませられるかを試します。#猫の食欲不振 #グレリン #猫の腎臓病 #猫の甲状腺機能亢進症 pic.twitter.com/j9p9321hKY
— kuro@腎不全猫 (@kuro_kidney) July 6, 2021
新たに出された液体のグレリン(犬用食欲増進剤)、無事カプセルに入れられました。
1回0.4mlなので、3号カプセルに0.2mlずつ入れて2個。
入れてもカプセルはふにゃふにゃせず、しばらくはしっかり硬さをキープしてます。
今のところ2〜3分なら大丈夫そう。#グレリン #猫の食欲不振 pic.twitter.com/sIloIAkDvD— kuro@腎不全猫 (@kuro_kidney) July 8, 2021
先生、グレリンもだめでした………
そうですか…
それでは、もう一度レメロンを試してみましょう。
たびたび吐くということでしたので、食前に胃薬のファモチジンも飲ませてみてください
わかりました
(レメロン効いてくれますように)
すこし時間もあいたし、きっとレメロンでまた食べるようになる!と期待していましたが……
7/19(月):病院で相談(ステロイド+レメロン開始)
レメロンやっぱりだめでした……………
うーん…
では、次はステロイドを試してみましょうか
え、ステロイドですか。
腎臓によくないと以前伺いましたが、大丈夫なんですか?
今回使うのはごく少量なので、すぐにどうというのはないです。
まずは1週間これで様子をみましょう。
これで食欲が出たとしたら、どこかに炎症があるかもしれません
わかりました、1週間続けてみます
ステロイドといっしょにまたレメロンも出すので、こちらも飲ませてくださいね
???はい…
(レメロン効かないのにな…?)
そういえばチョビの脳腫瘍ではステロイドでずいぶん助けられました。
効くときは劇的に効くというのを知ってるだけに、副作用が怖いのも本音。
クロの食欲、ステロイドの効果やいかに。
7/26(月):病院で薬の相談(ステロイド+レメロン継続)
先週からお試しでステロイドとレメロンの同時投薬中。
腎臓にステロイドは避けたいけれど、これで食べるならどこかに炎症起きてるとのこと。始めはあまり変化なしでしたが、ここ数日はじわじわ自分で食べるようになりました。
今は強制給餌を4回から2回に減らせてます。喜ぶべきか、悲しむべきか… pic.twitter.com/wNnuYZC37q
— kuro@腎不全猫 (@kuro_kidney) July 25, 2021
先生、ステロイドで食べるようになってきました!
そうですか!それはよかったです
はじめはあまり変化なかったのですが、2~3日たったころから少しずつ自分で食べるようになりました。
そうすると、消化管に炎症があったのかもしれないですね。
それがステロイドでおさまったんでしょう
ステロイドで食べるようになったのに、なぜレメロンも飲まないといけないんですか?
ああ、それはまた薬の機序(しくみ、メカニズム)が違うんですよ
???
まったく効かなくなったレメロンが、なにかでまた少しずつ効くようになるなんてことがあるんですか??
今回はおそらく、消化管の炎症でレメロンがうまく吸収できなくなっていたんだと思います。
ステロイドでその炎症がおさまって、レメロンが正常に吸収できるようになり、効果が出たんじゃないかと
え!そういうことなんですか…!
(すごい、ちょっと目ウロコ)
そうか~
ステロイドそのものの作用で食欲が出たわけじゃなかったんですね。
炎症がおさまると、薬がしっかり吸収されるようになって。
その結果レメロンの効果がちゃんとでるようになった、というわけです。
今後の対応
このままステロイドを続けるのも不安で病院に相談。
・ステロイドで食べたのであれば、消化器系の炎症で食欲増進剤が効かなかった可能性がある
・炎症が治まれば徐々に減らしていけるということで、もう1週間継続したら少しずつ減らしていくことになりました。
このままうまく治ってくれますように pic.twitter.com/JzAoKG3eVp— kuro@腎不全猫 (@kuro_kidney) July 27, 2021
もう1週間ステロイドとレメロンを続けてみてください。
そのあと少しずつステロイドをへらして、やめられるか見ていきます
わかりました!
もうしばらくは1週間ごとに病院で相談する生活が続きそうですが、すこし希望もみえてきました。
このままずっと強制給餌になるのかな…とどこかで考えていたので、もしまた自力で食べられるようになれば本当にうれしいです。
さいごに
食欲不振、食欲廃絶といっても、原因はけっこうさまざまなんですね。
腎臓が悪いから、血液中の老廃物で気もち悪くて食べないんだ、とどこかで思い込んでたような気がします。
まあ、甲状腺薬のせいで消化管が炎症をおこしたのだとすれば、そちらについてはまだ解決できてないんですけどね。
今回の件では、ひとつずつ順番に可能性を試していく(つぶしていく)大切さを、あらためて実感しました。
やっぱりお医者さんてすごいなぁ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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